REPORT大学生実情レポート

伝統か時代遅れか ーミスコンの存在意義を考える
発行日:2024/12/20
1.現役大学生の現在のミスコンに対する意見

2019年以前の大学学園祭における「ミス・ミスターコンテスト(以下、ミスコン)」は主に容姿を基準に優劣を競うイベントでしたが、法政大学が「ダイバーシティ宣言」に基づきミスコンを容認しない方針を発表して以降、上智大学が「ミス・ミスターソフィアコンテスト」を廃止、立命館大学で顔を隠したコンテスト「ミラクルガール立命館」が開催されるなど、ミスコンのあり方が変わってきました。
「LGBTQ」や「多様性」に配慮したミスコンの新たな形を模索する大学が多く現れている一方で、以前と変わらないミスコンを行っている大学もあります。
Z世代へのアプローチを探るため、大学生が「ミスコン」についてどのように考えているのか調査しました。

ミスコンと多様性の価値観について

まず初めに、「ミスコンは『LGBTQ』や『多様性』に配慮する価値観に合致していると思うか」を調査しました。

※Z世代に特化したクイックリサーチサービス「サークルアップ」に登録している大学生が対象
※調査期間:2024年11月25日~11月29日
※回答数:200(男性59、女性136、不明5)
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「あまり合致していない」「まったく合致していない」を合わせると、半数以上が価値観に合致していないと否定的でした。上記回答の理由については以下が挙げられました。 ▼合致していると回答した理由 ・「ビジュアルも観点のひとつだと考えてる」 ・「自己をアピールする場であり、自由な自己表現が認められるから」 ▼合致していないと回答した理由 ・「性別で分けられているから」 ・「その中でどう配慮したとしても、そもそもがLGBTQの人たちを配慮できるような内容になっていないから」 容姿を基準とした評価への意見 次に、「ミスコンの評価基準が主に容姿に基づいていることについて賛成か」を調査しました。
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この設問については、半数以上が「賛成」「どちらかといえば賛成」という肯定的でした。
賛成と回答した人からは「見た目で判断すること自体がミスコンの醍醐味だと思うから」という意見、反対と回答した人からは「ミスコン優勝者がアナウンサーになるなどして、容姿の優れた人に多くの機会が与えられるのは平等とは言えないと思うから」という意見、賛成と反対のどちらか一方に判断しかねる理由として「コンテンツとして見ていて楽しいけど、傷つく人が生まれると思うから」などが挙げられました。

学生は、ミスコンが現在のLGBTQや多様性に配慮するような世間の流れに合致していないと認識しつつも、コンテンツとしては容姿で判断することを賛成する立場の学生が多いようです。

2.現役大学生が予想する今後のミスコンのあり方

「今後のミスコンについて、どのように変わっていくと思うか」について調査してみました。
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今後については、若干多様性を意識した意見が多いものの、意見がばらける結果となりました。

▼従来通りの形式が続くとする意見
・「エンタメはエンタメとして残しつつ、それぞれの価値観を尊重できる社会になればいいと思うから」
・「全てのものにおいてLGBTQを適応させることは必ずしも正解とは限らないため」
▼新しい形式に変化するという意見
・「多様性が尊重されるようになったから」
・「容姿で順位を判断することは良くないことだと思われるようになったから」
▼廃止されるとする意見
・「世間的に美の基準が変わってきていると思うから」

従来通りとする意見には多様性に配慮しつつもエンタメという範囲内では認められるだろうという様子、変化・廃止すると思われる意見には世間の目を気にする様子が見受けられました。

さらに、「LGBTQや多様なアイデンティティを持つ人々が参加できるミスコンがあれば、興味を持ちますか」という質問について調査しました。
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結果としては、「興味を持つ」が45%、「興味を持たない」が32%と、興味を持つという肯定的な意見が若干多くなりました。

世間の流れに沿って形式を変化させていくことについて肯定的に捉えている学生が多いものの、一部では従来通りの容姿を基準にした内容でもエンタメとして楽しむ分には問題ないという意見に二分されるようです。イベントやエンタメを盛り上げるためには、コンプライアンスの遵守を前提としつつ、若年層の価値観の変化に乗り遅れないようにアンテナを張る必要があるのではないでしょうか。