REPORT大学生実情レポート

原作小説を読んだことのある大学生は○○%
発行日:2025/11/7
ある日の休日、映像作品を視聴するためNetflixで探していた際、原作が小説であるとだけ知っていたドラマ『陸王』に興味を惹かれ、何気なく観始めたところ、原作小説を購入するほどハマってしまいました。もともと小説をよく読んでいた時期があったため、映像作品から原作小説に興味が移ることに抵抗はありませんでした。

 一方で、“活字離れ”とも言われる現役大学生。SNSやショート動画、ネットニュースが日常の一部として定着する中で、彼らは映像化されたドラマや映画の原作となる「小説」をどの程度読んでいるのかを調査しました。今回は大ヒットを記録した小説原作の『国宝』と漫画原作の『鬼滅の刃』を対比軸に、現役大学生が原作小説にどのように接しているのか、また漫画原作との違いはどこにあるのかをアンケート結果から考察します。

1.原作小説を読んだことのある大学生は○○%

 まず、どのくらいの頻度で小説を読んでいるのかを調査しました。
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※()内は回答数

読む頻度としては「年に数冊程度」(37.0%)、「ほとんど読まない」(29.5%)が上位を占め、月に1冊以下の回答をあわせると約9割になるため、小説を読む機会はあまり多くないことがうかがえます。

 また映像作品の原作小説を読んだことのある割合は何%なのか調査しました。

Q.あなたが小説または漫画を読む際に重要だと思う要素を教えてください。(複数回答可)
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※()内は回答数

小説を読む際に重要視している要素は、「ストーリー」(69.5%)、「登場人物」(30.5%)、「テーマやメッセージ性」(26.0%)でした。一方で、漫画を読む際に重視している要素は「ストーリー」(58.0%)、「登場人物」(41.0%)、「話題性・口コミ」(21.0%)が上位となりました。

 読むうえで重視する要素は、小説も漫画も近いことがグラフの結果からも読み取れますが、「話題性・口コミ」や「作者」において大きな差が見られました。漫画における「話題性・口コミ」の回答が多かったのは、短時間で読みやすい・手を付けやすいため、SNSを通じて情報を得ながら他者の意見を重視する傾向と読者体験が影響されやすいことが考えられます。一方で、小説における「作者」の回答が多かったのは、情報量が多く、比較的時間がかかるものなので、より個人の作家・作品への思い入れや関心が重視されることを示しているのではないでしょうか。

 続いて、映像化された「国宝」「鬼滅の刃」にそれぞれ原作があることを知っていたのか、また映像作品の原作小説を読んだことのある割合は何%なのか調査しました。

Q.あなたは映画「国宝」「鬼滅の刃」が小説原作、漫画原作だと知っていましたか?(左側:国宝/右側:鬼滅の刃

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 ※()内は回答数

 調査の結果、「国宝」の「原作を読んで知っていた」と回答した割合は7.0%とかなり低いことがわかりました。ただし「原作は読んでいないが知っていた」という名前だけは聞いたことがある層が30.5%いるため、潜在的な認知度は高いことがわかります。対して「鬼滅の刃」の「原作を読んで知っていた」と回答した割合は45.0%と6倍以上の差が見られ、原作の存在を知っていた層を含めると9割以上が認識していました。
 このことから、「国宝」は隠れた知名度があり、「鬼滅の刃」は国民的IPであると考えられます。

 さらに、原作と映像作品で内容が異なっていた場合、どのように感じるのかを調査しました。

Q.原作と映像作品で内容が違っていた場合、どう感じますか?(複数回答可)
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※()内は回答数

 最も多かった回答は「原作の世界観やキャラクターが大事なので、違いがあると少しガッカリする」(32.0%)でした。原作に対する思い入れが強い層ほど、映像化の際に生じる設定や描写の変更を敏感に受け止める傾向が見られます。

 一方で、「ちょっと残念だけど、映像作品は別物として楽しむ」(24.0%)、「比較して楽しめるので逆に面白い」(21.5%)といった回答も多く、必ずしも“違い=マイナス”と捉えていない層の存在も確認できました。映像と原作を異なる作品として受け止め、表現の違いを楽しむ柔軟な姿勢がうかがえます。

 全体として、原作への忠実さを求める層と映像作品のアレンジを受け入れる層が共存しており、作品に対する受け止め方の多様性が明らかになりました。

 今回の調査全体を通して見ると、日常生活の中での「活字の優先度」が相対的に低下していると考えられます。しかしその一方で、映像作品をきっかけに原作へ関心を持つ学生も一定数存在しており、彼らの興味・関心の方向性を探る上で重要な示唆を与える結果となりました。